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執筆者の写真竹内 明仁

「いい会社をつくるためには?」

前回は、伊那食品工業さんで“人が輝きながら働く組織”を実際に肌で感じ、今回は「どうしたらこのような組織になるのか?」がテーマです。


はっきり言いますと、特効薬はありません。しかし、可能です。

その取組み方を伊那食品工業さんの例も交えてお伝えしていきます。


~投資への考え方~

製造業では“投資”というと設備投資が一般的です。

勿論必要な設備投資は欠かせませんが、『社員さんが楽しく快適に働く環境づくり』に投資している会社は少ないと思われます。

「なぜか?」

それは直接売上や利益に繋がらないからです。


企業は効率化を実現し生産性を上げるための目に見えることには投資しますが、社員さんのモチベーションアップやモラール向上のための目に見えることへの投資には腰が引けます。いや、腰が引ける以前に考えとして頭に浮かばないかも知れません。

それは、売上や利益を可能な限り最大限確保して急成長する欲が強いため、物質的な職場環境改善への投資が結果的に生産性を上げるところには気づかない。

経営者が自分たちの働くための快適さを追求してくれれば、社員さんは自分ごととして捉えられるのではないでしょうか。

伊那食品工業さんでは塚越最高顧問が創業当時からこれを一貫して行って来ています。


例えば、休憩室の椅子は休憩時間に極力くつろげるようにこだわった上質なものにする。冬場作業の足元への寒さ対策のため床暖房を入れる。健康のために昼夜交代制はやらない。

休憩・休息時にはしっかり休んでオン・オフのスイッチをキチンと切り替えたり、床暖房によって寒さ・冷たさを感じずに仕事ができれば快適さが違いますね。

経営トップが如何に社員さんの幸せを考えながら行動しているかを見せることによって、社員さんは自分たちが大切にされている実感を得ることでその想いに応えようとする。

その結果が、就業開始前の主体的な掃除にも結び付く訳です。

「効率性」よりも「効果性」を追求する。


~「必要な経費」と「無駄な経費」の使い分け~

普通企業は経費を極力抑えようとします。

企業によっては電気代節約の名のもとに薄暗いオフィスで仕事をしているケースも見かけます。

これは社員さんの目の健康悪化や気持ちが明るくなれない等の副作用が伴い、逆効果の典型例です。

PC等を使うことが多い現代の仕事を考えると、照明は全てLEDにする方が余程社員さんのためになるでしょう。

電気代の節約は、誰もいない部屋の電気をつけっぱなしにするといった場面で考えるべきことです。

また、伊那食品工業さんでは社員さんの福利厚生のために、会社負担で全員がん保険に加入しています。これも2人に1人はがんになる時代に、社員さんの経済的負担を少しでも減らしてあげたいという親心的な配慮です。

しかし、売上や利益には直接関係ない。。。ということで、多くの企業では『社員さんが楽しく快適に仕事ができるための経費』におカネを使うことを惜しむ。

『社員さんへの効果よりも会社の効率を優先する結果』がまだまだ顕著です。


~「利益の使い方」~

企業で利益が出た場合、設備投資以外に節税を優先するケースも多く見受けられ、本当に必要かどうか疑問な生命保険に加入したりして税金の軽減を図っています。

もし赤字になった場合には、保険料の負担が重くのしかかり短期間で解約すると元が取れないのに。

その対極にあるのが、社員さんの職場環境の絶え間ない改善、必要な設備投資、敷地内の景観への配慮、訪れた人たちが楽しめる施設の運営、地域活性化のためのメセナ活動等、利益の使い方を広範囲に考えて実践しているのが伊那食品工業さんです。


つまり、短期的な視点で利益の使い途を選択するか、長期的な視点に立って会社に関係するすべての人たちが幸せになる利益の使い方をするか、ここに大きな違いがあります。

会社に関係するすべての人たちが幸せになることに利益を使えば、自ずと普通の会話の中で「あの会社、いい会社だね」と言って貰える。

結果的に、自社のブランド力を磨くことにもなります。

今後本格的に始まる働き方改革の本質が詰まっている利益の使い方だと思います。

伊那食品工業さんも時間をかけてじっくり取組んで来たからこそ、今の姿があります。

これから取組みを始める企業も、自社のできることから一つずつコツコツと積み上げてみては如何でしょうか。


同時に、経営者が自社の哲学を根気よく何度も伝えていくことでミッション・ビジョンを共有することは、車の両輪と同じであるのは言うまでもありません。










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