今、安定的な事業を展開している企業にとっても未来の保証はない。
激動の時代の流れに立ち遅れずに事業展開を変遷させていく方法は、今後大きく需要が変わるであろう社会貢献事業へのシフトが鍵となるように思います。
では、どのような価値観を持って事業シフトしていくか?
~石坂産業さんの取組みに学ぶ~
先日、埼玉県三芳町にある石坂産業さんへ8回目の企業見学に伺いました。
その石坂産業さん、20年前にはマスコミの誤報道によりダイオキシン被害の風評被害にさらされ、存続の危機を迎えたことがあります。
産業廃棄物中間処理業。それが当時の石坂産業さんの業態です。
そこから、一般住宅から出る土砂系混合廃棄物の再生化率を98%まで高め、今や資源再生事業として生まれ変わっています。つまり「煙よ、さようなら!」をいち早く実施し、産業廃棄物の処理としては最も難しいと言われる土砂系混合廃棄物に特化した事業へ転換。
何が難しいかというと、一般住宅から出る廃棄物の中には木・コンクリート・金属・土等いろいろな物質が混ざっているため選別に手間がかかり、それを再生化するには高い技術力が必要とされます。
しかも、「煙よ、さようなら!」を決断した時は、当時最新鋭のプラントを15億円かけて建設してから僅か5年後。覚悟の度合いが違います。
そして今や未来に向けた施策として、地熱発電などによるエネルギー供給産業へと更に脱皮を図っています。
同時に、以前は産業廃棄物の不法投棄場所だった里山を再生し、蛍が訪れる程自然な環境に仕上げ、東京ドーム4個分と言われる広大な敷地を丁寧に育てています。
“三富今昔村”と名付けられたテーマパークで地域住民を含む訪れる人たちに癒しと喜びを提供。次世代への継承も見据えた環境教育。「石坂ファーム」による有機栽培野菜の生産、手作りのパン工房など、人が生活していく中での“在るべきライフスタイル”の提案。
今後世界中が直面するであろう、エネルギー問題、環境保護、食の安全といった非常に付加価値が高い社会的な課題を解決しようとする活動。
先日ご紹介した伊那食品工業さんでも、寒天カスをリサイクルした土壌改良材の「養土藻」の生産や有機野菜の栽培という点で、やはり食の安全に着目した事業展開をコツコツと積み重ねています。
~いいものを作るだけでは立ち行かない時代~
上記の石坂産業さんや伊那食品工業さんのような先見性を持てる会社は少ないですが、企業が今後力を入れていくべき考え方は用途開発。
つまり、今の技術でいいものを作るだけでは顧客価値の創造には至らないということです。
今の技術を如何に応用して顧客にとっての新しい価値を創造できるかがポイント。
それには徹底的な研究開発が必要で、今ある技術の深化が新たな顧客を生み出し、結果的に強い財務体質をつくることにも繋がります。
これは何もものづくりだけに絞った視点ではなく、サービス業にも通じることでもあります。
~下請けからの脱皮がスタートライン~
最も分かりやすいのが、一流と呼ばれるメーカーの下請け専門で事業を展開している企業です。単純に勿体ないなぁ~といつも感じます。
一流メーカーと取引が継続しているのはクオリティが高い証拠であり、技術力を信頼してのこと。
そこで企業としての永続性を考えれば、自社のオリジナル製品の開発に目を向けるのは当然の流れでしょう。でもやらない会社が多い。建設業や加工業も一緒ですね。
下請けの最も不安定な部分は元請けに依存しているため、自社に選択権がないことです。
保険会社の代理店もそうですが、新しい発想があっても元請けの仕様に抑え込まれることになり、主体性が育たない。
このようなビジネスモデルが今後は最も衰退しやすいと、個人的には予想しています。
経営者の事業への想いが明確でない。少なくとも社会貢献を念頭に置いているとは感じにくい…。
今後一層事業の変遷・多角化が必須条件になるため、未来に向けた事業戦略をじっくりと考える時間を確保してみては如何でしょうか。
それは、経営者にしかできない経営者の仕事です。しかし、あまり時間はない。。。
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