“いい会社”と呼ばれる会社のロールモデルとして頂に位置していると思われる伊那食品工業さんの秘訣をひと言で表せば、社内で頻繁に使われる『伊那食ファミリー』という言葉に尽きる。。。経営者・幹部・現場の社員さんの間に壁がない!
それを五感で感じる幸せを味わって来ました。
6月13日(木)、14日(金)の2日間は長野県小布施町にある出版社『文屋さん』主催の【文屋座ビジネス合宿セミナー】に参加しての感想です。
500名の社員さんがファミリーとして、まさしく大家族経営を実践しています。
~敷地内に一歩踏み入れた瞬間から空気感が違う~
伊那食品工業さんは「かんてんぱぱガーデン」という3万坪の広大な敷地内に自然と共生しながら存在しています。
赤松林の木々をなるべく残しながら切り拓いて造成したガーデン内には、季節の美しい植物や湧き出る井戸、美術館に加えて、社屋、工場、かんてんぱぱショップ、食事処がバランスよく景観を維持しながら配置されています。
そして、その掃除は外部の業者さんに依頼するのではなく、全て自社の社員さんで行なっている事実。それが見事なまでに行き届いているため、足を踏み入れた瞬間思わず笑顔になるのです。
男性トイレには「このトイレはキレイに掃除が出来ています。便器は汚い物ではありません。ズボンがつくまで前に出てはいかがでしょうか?」のプレートが貼ってあります。手洗い場には水滴も落ちていません。
~尋常ではない社員さんの目の輝き~
入社2年目であろうと、9年目であろうと、13年目であろうと、社員さんの目の輝きが他社とは全く違います。
「なんて澄んだ瞳をしているのだろう」というレベルです。笑顔は決してつくり笑顔ではない自然さ。
気持ちのいい挨拶、行き届いた整理整頓、輝く笑顔が“いい会社”の共通条件ですが、どれも群を抜いていますね。
~経営トップに何でも言える環境~
2日目には塚越英弘社長と3名の社員さんとのクロストークの時間があり、そこでの経営トップと社員さんの距離の近さには驚くばかりです。
しかも社員さんは前日に参加を打診され、質問事項も全く分からない中でニコニコしながら答えていく。
入社13年目の社員さんは、これまで塚越最高顧問に対して海外展開の要望を7回程訴えて来た結果、念願かなって今回許可をいただいたそうですが、プレゼンはしたことがないという。。。今までは「会長(当時)、そろそろお願いできますか?」「またその話か」で終わっていたと笑いながら話していました。
普通は自分の直属の上司から始まって経営トップへ伝わるか、伝わる前に潰されるでしょう。
それが直接言える関係。上司も「なぜオレを通さないんだ」なんて野暮なことは言わない。「本人がそれが一番いいと判断したならそれでいい」と平然と言う。
組織が自然体なのです。
~異なる部署間の壁もない~
クロストークの壇上で営業部と研究開発部の社員さんが仲良く話をしていましたがその時に質問があり、その内容は「部署間でぶつかることはないのですか?」
答えが面白い。「しょっちゅうぶつかります。でも最後は、任せれば何とかしてくれると信じていますから」と笑いながら当たり前のように話すのです。
また、研究開発部の中にも研究分野が異なる部署があるそうですが、その部署間の垣根もない。
一般的な企業では、営業部と研究開発部は犬猿の仲だったり、研究開発部内はあまり雰囲気が明るくないケースが多いと思いますが、こちらでは本質でないことにエネルギーを割く文化がないのです。
~指示・命令が不要な組織~
伊那食品工業さんの営業部では課長や部長などの管理職も自分の担当を持っており、一般の社員さんと仕事の内容はあまり変わらないと言います。
では、管理職の仕事とは何か?
『社員のみんなが不安に思うことはないかを聴き出したり言われる前に気づいたりして、とにかく働く環境を整えること』との答え。
これには目から鱗でした!
塚越最高顧問が創業時からブレずに実践して来た最も大切にしていることが、他の社員さんに普通に浸透しているのです。これが一枚岩の証拠ですね。
社員さんに聴いてみる。「さぼる人はいないのですか?」「え?さぼる人がいるんですか?」「組織間の壁はないのですか?」「組織の壁って何ですか?」と会話が成立しないのです。
このような組織に指示・命令は要らないですよね。主体的に判断して動き、分からない場合は自分から聴きにいくし、その前に上司や先輩が気配を察知して声をかけてくれる訳ですから。
では、どうしたらこのような組織になるのか?については次回報告したいと思います。
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