• 竹内 明仁

「働き方改革関連法案」を知る。

先日、埼玉県大宮市で【社労士会の労務管理地方研修会】があり、参加しました。

その時に基調講演をしたのは、元厚労省のキャリアで現在は『公益財団法人21世紀職業財団』の伊岐典子会長でした。


テーマは「経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメント」

ダイバーシティの中でも財団の事業内容が女性活躍推進に力を入れている関係から、主に「女性が仕事で活躍するには男性や企業がどのような取組みをしたら良いか」に焦点が絞られました。

人口が減少しているのに女性活躍の仕組み化が遅々として進まない日本。諸外国に比べると随分見劣りするのは周知の事実です。ジェンダーギャップ指数も低い。

法令上は「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」「次世代育成支援対策推進法」「女性活躍推進法」があるが、円滑に機能しているとは言い難いですね。


「なぜか?」


最も女性活躍を阻害している要因は、やはり日本の伝統的な文化に帰するところが大きいと、個人的には感じています。

固定的な男女の役割分担意識がまだまだ強いことが一番ではないでしょうか。

その他に、育成方法が分からなかったり、機会不足もあるでしょう。女性への家庭責任への配慮なども考えられます。

その結果、、業務経験が不足し昇格・昇進の対象外だったりします。

夫婦の場合には、夫の扶養対象から外れる働き方を回避する傾向も強いでしょう。


これらは全て女性の担当は家事・育児であり、働き手の主人公とはみなさない風土から来ていると考えられます。その証拠に日本では“男女間の賃金格差”がなかなか解消されません。諸外国では先ず賃金の平等を実現してから様々な改革に着手しているようです。


女性活躍の仕組み化は「働き方改革関連法案」を乗り切る上でのキーポイントの一つと言えます。

女性は子どもができたら退職は当たり前の慣習から、仕事と育児の両立支援制度を導入・強化し、ポジティブアクションの実施、男女ともに家庭責任を担いながらキャリアアップしていく形態がこれから必須となるのが時代の流れと捉えています。


次に、日本商工会議所の直近アンケートで中小企業の約4割が未だに内容を知らないという「働き方改革関連法案」について。

今回は『労働時間の上限規制』と『5日の年休取得義務』を取り上げます。


現状では時間外労働の上限を定める法律がないため、36協定の特別条項に記しておけば実質青天井で長時間労働ができます。

それが大企業は2019年4月~、中小企業も2020年4月~上限規制が適用されます。


ご存知の通り、労働時間には1日8時間、1週40時間の規制がありますが、36協定を労基署に提出することにより、原則1カ月45時間、1年360時間以内の延長が可能です。しかし、特別条項に記すことで限度時間の設定に規制がかからないのが現行法です。

それが、例え特別条項に記入しても1年720時間以内が義務付けられます。(但し、法定休日労働は含まない)月45時間を超える残業は年6回までは現状と同じですが、単月100時間以上はアウト、2~6カ月の平均残業時間は80時間以内義務化が加わります。違反すると6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金の罰則が、指導者・会社ともに両罰規定で適用されます。もし超えてしまったらその36協定は無効となり、超えた部分は全て時間外労働扱いとされます。

また、36協定を締結する際に社員さんの過半数代表者名を記入する欄がありますが、その選出方法は投票や挙手等の方法を採らねばならないとなっており、そこに「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」が改正労規則で明記されます。これ、結構要注意だと思います。判例では36協定自体無効の判決が出ています。過半数代表者の選出方法については会社側に説明責任があるということですね。


2019年4月1日から始まる年休の取得義務とは、年10日以上の年休がある社員さんに対して、1年以内に5日の時季指定を行って年休を取得させる義務が生じるものです。もうすぐですね。

これには就業規則の改正が必要になります。

時季指定に先立って社員さんから意見聴取する義務もあります。

但し、社員さんが自ら取得した年休の日数や計画年休(会社側が予め計画して一斉に付与する計画的付与と呼ばれる制度)については「5日」から控除できます。

では、特別休暇(慶弔休暇等)を取得した場合は「5日」から控除できるか?

特別休暇を廃止すると、就業規則の不利益変更の問題になるので注意が必要です。


如何でしょうか。


この他に『勤務間インターバル制度(労働時間等設定改善法)』『産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法)』『同一労働同一賃金(パート有期法)』『労働者派遣法の改正』も入って来ます。


このコラムには載せ切れない細かなケースが沢山ありますので、今のうちから顧問社労士に相談して内容をしっかり把握しておくことが重要です。


「働き方改革関連法案」に対応するには女性の働き方改革だけではなく、男性の働き方改革も仕組み化だけでは対応し切れない面が多々あります。

どのように生産性を上げるかと考えた場合、言われたことをやるだけでは済まず、モチベーションアップや主体的な取組みによる効果性の向上が不可欠です。チームワークしかりです。

国にはこの「働き方改革関連法案」に対応できない企業は淘汰されてやむなしの姿勢が見えますので、他人事ではない自分事として早期に対応策を実行に移す必要があります。









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