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  • 執筆者の写真竹内 明仁

「労働の在り方は契約からスタート」

このコラムでは“いい会社”の考え方・価値観や取組み事例を中心に紹介させていただきましたが、前回お伝えした通り、どの会社も最初から“いい会社”であった訳ではありません。

そもそも“いい会社”とはどんな会社か?をもう一度考えてみましょう。


伊那食品工業さんの社是の中で「“いい会社”とは、単に経営上の数字が良いというだけでなく、会社を取り巻くすべての人々が、日常会話の中で“いい会社だね”と言ってくださるような会社のことです」と定義されています。深いですよね~。

この状態を最終的な目標に設定した場合、「道は遠いなぁ~」と感じる経営者の方が多いと想像できます。


では、『最初の一歩』を踏み出すにはどのような考え方・取組み方をしたらいいのでしょうか?


私は、人を雇用する際に「労働は契約である」ことを当事者(会社と働く人)がキチンと意識した上で働くことがスタートラインだと考えています。

法律上はある程度の労働契約の内容を書面で示すことが義務付けられており、それが「雇用契約書」とか「労働条件通知書」という形に表れています。

但し、これはあくまでも形式的なものとして取扱われ、雇用者双方の気持ちが通い合っているとは言えないのが実情です。中には、この書面でのやり取りさえ履行していない企業が散見されるような状況です。

それだけ当事者同士に、「労働は契約である」ことへの意識が低い証拠ではないでしょうか。


日本の場合、「契約」という言葉を使うと何となく冷たい印象があるかも知れません。

個人的には、労働法や契約書類等の中で使われている「労使(労働者と使用者)」という言葉が大嫌いです。

しかし、ここは労働条件に関する納得度や後々のトラブル防止のためにも必要な措置であり、説明責任の観点からも是非意識していただきたいところです。

ただ、この「契約」という言葉に人間味を持たせる原点があります。


それが、民法第1条2項の『権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない』です。


当たり前の話なのですが、信義に従い誠実に行うことを当事者同士がどれだけ意識した上で契約を結んでいるのかは甚だ疑問です。

働く当初から人間としての権利と義務の関係が曖昧だから、働く中で様々な問題や課題が生まれる。。。

逆論で考えると、信義に従い誠実に行うことが予め分かっていれば、契約を書面で結ぶ必要性がないかも知れませんね。(法律上は許されないですが)


『信義則の原則』がお互いに相手の信頼や期待を裏切らないように行動することである以上、日々の仕事において経営者と社員さんが配慮し合うことの積み重ねから“いい会社への第一歩”がスタートするのではないでしょうか。

その時誰が一番先に行動するかは、当然経営者です。

主体性ある組織になっていない場合で新しい基準をつくろうとする時は、先ず経営者の率先垂範から始まるのが常であり、その後それが目立たなくなる形が順序だと思います。

人の行動基準が定着すれば、いわゆる“規律ある社風”に繋がっていく筈です。


家族や友人との関係性も『信義則の原則』がないと崩壊してしまうのと同じです。

「仕事だから違う」と区別することに意味はない気がします。


『権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない』

この言葉の意味を再度考えてみませんか?
















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