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執筆者の写真竹内 明仁

「血の通った仕組み化をつくる前提」

前回の「血の通った仕組み化しか機能しない」から多少間が空いてしまいました。

GW中に読んだ本は、ドラッカー教授の「実践するドラッカー<事業編>、リンダ・グラットン教授の「未来企業」、ジム・コリンズ氏の「ビジョナリ―カンパニー②飛躍の法則」その他労務と財務の専門書でしたが、経営の奥深さ・楽しさ・難しさの面で考えさせられるところが多かったです。


その中で一番印象に残ったのは、「ビジョナリ―カンパニー②」の第三章に掲載されている『だれをバスに乗せるか-最初に人を選び、その後に目標を選ぶ-』です。

通常は新しい方向やビジョン、戦略を策定し、次に新しい方向に向けて人びとを結集するものですが、ここでは先ず初めに適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうか決めているというものでした。

日本の企業では人材・人手不足のためなかなか難しいのですが、“解雇”が容易にできない事情を考えると逆に理にかなっているとも思えました。


そして“いい会社”と言われている企業は、段階を踏んで自然にこの形を採っていることにも気づきます。


しかし、最初から適切な人だけをバスに乗せられた訳ではありません。

今いる人員に対して新しい考え方や価値観を理解してもらうために大変な努力を積み重ねて来ています。

場合によっては、短期間に多くの離職者を出して血の入れ替えを余儀なくされた企業もあります。それによって、ある時期は一人ひとりの仕事の負担が増え、苦しい思いを経験したことは容易に想像できます。


ここで割と耳にするのは、社風を変える意味では会社にそぐわない人物であっても、その人の仕事の能力を考慮すると決断できないケースです。

「去る者は追わず来る者は拒まず」のパターンと「理解してもらうまで粘り強く対話をする」パターンに分かれるところです。

問題解決を最も遠ざけているのは、経営トップが具体的な行動を起こさずに現状だけを嘆いている、いわゆる「逃げのパターン」です。

ここで最も必要とされるものは“勇気と覚悟”ではないでしょうか。


実は、特殊な状況を除いては経営トップや幹部の社員さんに対する接し方に問題がある方が多く、それに気づいていないからだと個人的には判断しています。

程度の違いはあれ、通常人は生活するためだけに働いているのではないからです。そこには仕事を通じて成長したい気持ちがあり、成長する可能性は誰でも持っています。

ただそれが引き出されていないだけ。。。


強制力には2種類あると前回のコラムで示しました。

多くの場合、強制力は権威的な命令だったり、一方的な都合だったりします。

強制力に“対話”を組み込むことにより、それが一方的でなくなります。

対話の中にそれをする目的・意義・効果を明示すれば、それが例え業務命令であっても納得度が高くなり、面従腹背を防ぐ手立てになるのではないでしょうか。

従って、経営者が自分の覚悟を見せながら行動で示していくことが大切になります。


例えば西精工さんのように、経営者が出したテーマについて社員さんからの意見を求め、そこにチェックを加えていくことでお互いに気づきや学びを共有する。

石坂産業さんのように、業務日報を丁寧に添削しフィードバックする。

これを何年も続けていく。

そうすると経営者の「この会社をもっといい会社にしたい」気持ちが通じるようになり、社員さんの意識も徐々に変わっていく。

社員さんの意識が変われば行動が変わる。

行動が変われば習慣が変わる。

習慣が変われば人格が変わる。

人格が変われば運命が変わる。

運命が変われば人生が変わる。

の言葉にあるように、社風が変わっていきますよね。

その社風が変わると、『適切な人しかバスに乗ってこない』状況になります。

バスに乗ってくる人が適切ならば、その人たちが新たなビジョンや目標を創り出していくことが可能になります。


今回のテーマ内容を整理すると、いい会社は最初からいい会社であった訳ではありません。

当初は強制力を使って方向性を示します。但し、対話を入れながら経営トップが勇気と覚悟を示し続ける。すると、時間はかかるものの徐々に浸透していった結果がバスに乗る人を選ぶ事に繋がる。

ここでの大敵は「面倒くさい」です。










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