『組織開発』というと、経営トップが語り続け、行動を示し続けることで変化が訪れるパターンが一般的ですが、幹部や若手から組織を変えていく、所謂“逆パターン”も時にはあります。「その必要条件とは何か?」を探ります。
~一般的ではない組織活性化への取組みー①~
既にみんなで一緒に決めたクレドを、経営者が率先垂範して言葉や行動に落とし込みお手本を見せるのではなく、幹部が現場スタッフさんと一緒に具体例を示しながら進めていく。問題点や課題も共有して主体的に実行していくやり方。
経営者にリーダーシップがなかったり、人に対する配慮が欠けているケースではいくらトップが旗を振っても逆効果です。
しかも、配慮が欠けていることに悪気はなく自覚症状もない場合、言わなくてもいいことを言ってしまう場面が多いため、却って性質が悪い。。。
~この場合の改革に必要な条件~
組織を縦の関係で捉えることは既に陳腐化していますが、敢えてここでボトムアップという言葉を使いました。図式を分かりやすくするために…。
ちなみに、「どんな条件だと思いますか?」
それはトップの非権威主義と柔軟性。
組織を“縦の関係”ではなく、役割に基づいた“横の関係”と捉えていることが必須。
また、幹部や現場のスタッフさんから提案事項があった時に、それが合理的であれば裁量権を与える度量があること。
ここで、トップが幹部や現場スタッフさんの意見を聴かずに独断で決めてしまう場合には、このパターンは成り立ちません。
トップが受け入れてくれるからこそ意見や提案を言おうとするのであり、否定したりフィードバックせずに放置したら、次からは言わなくなります。故に言われたことしかやらない指示待ち人間に収まってしまう。活発な組織はつくれませんね。
~一般的ではない組織活性化への取組みー②~
経営トップは「企業哲学」の重要性は理解しており、それに沿って進めていこうとするがリーダーシップはない。経営を推し進めていく中で非常に“ロジカル”であり必要な情報収集能力に長けているため、経営の方向性は間違わないケース。
~この場合の改革に必要な条件~
経営者がトップセールスマンだったりロジカルな面で頭が切れるため、部下には主体的な人は少ない。このタイプのトップは最重要課題に集中して取組むのではなく、同時に幾つもの課題を解決しようとするため、社員さんが振り回される錯覚に陥る。
従って、社員さんが自分で判断できることでもトップに依存する体質が染みついていることが多い。
ここでも前述の通り、トップの非権威主義と柔軟性は必要。
それに加えて、幹部に性格が明るくリーダー的な立場で振る舞える人や、ムードメーカーの存在が不可欠と感じています。
~ボトムアップ改革の外部支援方法~
①の場合は、こまめな面談等を通じて幹部や現場スタッフさんを勇気づけることが必要です。同時に、経営者に対しては社員さんを信じてあまり余計なことを言わないよう自制を促すことも大切だと思います。
②の場合を外部から支援する場合には、複数の専門家によってその都度対応していく方が良さそうです。優先順位をつけて順番に課題を解決することが苦手なため、その都度気になる点を深掘りしていくには、一人の専門家では対応し切れないかも知れません。
経営者用、幹部用、現場スタッフ用と分業体制で臨む方が効果的ではないでしょうか。
上記の例は傾向を示したものであり、必ず当てはまる訳ではありません。
但し、ある程度の基準を持って考え、想像し、仮説を立てて検証していく方がその会社の本当の姿が早く見える気がします。
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