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  • 執筆者の写真竹内 明仁

「ミッション・ステートメントを作る」

「ミッション・ステートメント」とは、会社で言うところの「企業哲学」に当たり、私が携わらせていただく場合には“クレド”(信条)を作成する支援から始めます。


クレドは、企業のミッション(存在価値)・ビジョン(将来在りたい姿)・バリュー(行動指針)で成り立ちますが、作成しただけでは「絵に描いた餅」となってしまいます。

当然社内で経営トップから現場スタッフまで共有して初めてチームワークやモチベーションのアップ、生産性の向上等に繋がります。


よく現場で見かけるのは、この企業哲学を毎朝朝礼で唱和している姿です。

そして感じることは、「これで果たして社内で共有化できるのだろうか?」です。

企業哲学を共有する目的は書かれている文章を暗記することではなく、その一つひとつの意味に肚落ちして現場で行動に転換できることです。


そのためには、各文言を各人が具体的にイメージできることが必要です。

だとすれば、文章を暗記するだけではイメージは湧いて来ないと思うのです。


では、どうすれば肚落ちするのでしょうか?


働いている人たちの物事の捉え方や価値観・考え方はそれぞれ異なり、また働いている部門や立場の違いもあります。

従って、ひとつの文言にもその人なりの解釈があることを、まず理解する必要があるでしょう。

その上で、一つひとつの文言に対して「自分はこのようにやってみようと思う」「自分はこう考えてやってみた」などの想像に基づく方法や実体験を、朝礼等の場で発表し合い情報共有をすることを実践してみたらどうでしょう。

但し、1回の時間はせいぜい10~15分程度までに抑え、発表者も2~3人位にした方が無理なく継続できる気がします。(従業員さんの人数にもよりますが)


最初の内はぎこちない感じでスタートすることが予想されます。

しかし、覚悟と忍耐を持って継続していけば、人それぞれのケースが出て来て「あ、こんな考え方もあるんだ」「自分も試しにやってみよう」などの気づきに繋がり、それらが蓄積された結果、徐々にイメージ付けができ、少しずつ行動に結び付いていくのが定石を踏む方法だと捉えています。

また、クレドを小冊子にして絶えず携帯することで、迷った時はクレドを見て確認することも重要です。

そして「クレド委員会」のような場を設け、そこで発表し合って共有している事例が全てクレドに沿ったものかどうかを定期的にチェックする機能も必要と感じています。


どうですか。面倒くさいでしょう。

前回のコラムでも記した通り、この面倒くさいと思われることを愚直に継続している会社が「いい会社」になっていく訳です。

でも、想像してみてください。社内で皆が同じ方向を向いて仕事している状況を…。

こうなったら強いです。指示命令から脱皮して主体的に動くようになるため、個々の眠っていた潜在能力が引き出される可能性が高まるからです。

結果的に生産性は格段に上がり、上司は部下に仕事を任せ、経営者や幹部としての本来の仕事である「緊急ではないが重要なこと」に時間を割くことができます。


人に関することに近道はない証拠ですね。


さて、ここからは「ミッション・ステートメント」を会社だけでなく、個人でも作ってみることをお勧めします。

特に日々仕事に追われていることが多いと感じるならば、「緊急かつ重要なこと」にばかり目が向き、「緊急ではないが重要なこと」が疎かになっているのではないでしょうか。


勿論、「緊急かつ重要なこと」は危機対応だったり、差し迫った問題・課題だったりと期限が決められているケースが多いと思いますので、確かに最初に対処しなければならない部分でしょう。


しかし、ここで気をつけたいのは「緊急だが重要でないこと」と「緊急かつ重要なこと」を混同してしまう錯覚についてです。

後者は、差し迫った問題・課題の中でこちら側がすぐにはコントロールできないことや、顧客からの節度を超えたクレームだったり、一部の電話やメール・報告書、上司からの突然の依頼事だったりします。


つまり、「緊急と思えば全て重要なこと」と錯覚するところに原因があります。

これらを一緒にしてしまうと、“最優先事項”である「緊急ではないが重要なこと」に目が向かなくなってしまいます。その結果、仕事を抱え過ぎてその場しのぎの負の連鎖に陥っていきます。


これを防ぐことを目的とした“最優先事項”を計画する手法が必要です。


その最初のステップは、自分の価値観を明確にして書き出すこと。次に役割を特定し、自分のミッションを決めること。その後目標を設定する段階に移ると、自分が考える最優先事項に基づいて何を手に入れ、何をし、どう在りたいかを考えます。

仕事だけではなく、生活面でも同様に考えることがミソです。

目標は長期~1年➡月間➡週間➡日々と落とし込んでいった方が、目標に対しての整合性を保てる気がします。


今までの「ミッション・ステートメント」の作成方法は、フランクリン・R・コヴィー博士が著書『7つの習慣』の中で明らかにしていることですが、私もTTP(徹底的にパクる)をしています。

生まれて来た以上は“効果的な人生”を送りたいからです。





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