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執筆者の写真竹内 明仁

「企業と個人のワークシフトを考える」

先月読み終えた、ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン女氏の著書「ワークシフト」は、未来に向かっての企業の事業展開と個人のキャリア開発について深い示唆を与えてくれる書物だと感じました。


そこには、これからの企業は、事業の持続可能性のために新しい方法論を展開する必然性や社会問題・課題の解決のためには単独ではなく、同業他社・異業種の壁を超えた連携が必要であること、個人が長期的に働き続けるためには、専門技能の連続的習得が必要であることが記されています。


具体的には一体どういうことでしょうか?


この考え方の大前提として、企業の場合は「持続可能な会社をつくっていく」「社会のお困りごとを解決する」などに関する具体的なビジョンを持つ(あるいは今後持とうとしている)ことが条件になります。

個人の場合も、「変化を受け入れる」「自分の人生に責任を持ちたい」などの前向きな姿勢を持っている(あるいは今後持とうとする)ことが必要だと思います。


では、今後予想される未来の動向について考えてみましょう。

1.テクノロジーの進化…グローバルな結びつきの加速、社会的活動の活発化、生産性の向

 上、知識のデジタル化、バーチャル空間での仕事増加、ロボットの役割拡大など


2.グローバル化の推進…新興国の台頭、人材輩出大国の登場、世界中で都市集中化の進行

 、新たな貧困層の出現など


3.人口構成の変化と長寿化…新世代の登場による仕事環境の変化、長寿による労働期間の

 大幅な延長、高齢者の仕事確保、国境を越えた移住の活発化など


4.社会の変化…家族のあり方の変化、女性パワーのさらなる台頭、男性によるバランス重

 視の働き方の増加、大企業や政府に対する不信感の強化、余暇時間の増加など


5.エネルギー・環境問題の深刻化…エネルギー価格の上昇、温室効果ガス排出の地球温暖

 化による災害の増加と生態系の変化など


いかがでしょうか。

企業にとっては、持続可能性を追求すると従来の事業だけでは立ち行かなくなり、既存事業の新たな価値の発見や新事業への進出・転換、事業形態の変化などが繰り返し求められる可能性が高くなります。それも比較的短期間で…。

また、グローバルな視点での連携や人材採用の考え方、社会問題の解決方法の変化にも対応していかなければならないことが分かります。

さらに地球規模の問題・課題を野放しにしていたツケが回って来て複雑化してしまったため、容易に解決できないことがいくつもあります。

このような事態に対処するには、企業ばかりではなく官・民・学・NPOの全部又は一部が連携し、それぞれの強みを発揮しながら解決策を練っていく姿勢が問われると思います。

その背景には、今後の企業の持続性を展望する時、社会問題・課題の解決と自社の事業性をリンクできない企業は淘汰されていくだろうという予測があります。

はじめの一歩としては、地域貢献からかも知れません。


一方個人も、今までに身につけた知識やスキルが陳腐化し、新たなものを取り入れて専門技能のパラダイムシフトを起こしていかないと時代に取り残された存在になるでしょう。

医療技術の発展による長寿化がさらに進み、働く期間が長期化すれば時代の変化に対応した専門的技能の習得も複数必要になります。

なぜ専門的技能かと言うと、一般的な知識はインターネット上から拾えるし、一般的なスキルはロボットが代行するようになるからです。

企業の社会性への取組みと同様に、AIを活用しながら人間しかできない専門的な仕事を今から開拓していく時代の訪れを感じます。


企業・個人双方にとって、ドラッカー曰く「新しい次元の能力を創造する変化である」イノベーションと計画的な廃棄は必要ですね。






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