• 竹内 明仁

「意識のステージを変える」

最近会社というか、組織の在り方がどんどん変化している感があります。

組織は個人が集まった結果ですから、突き詰めていけば個人の在り方に変化が起きていると言ってもよさそうです。


私が頻繁にお伝えしている“いい会社”は、例外なく事業の延長線上に社会性を意識しています。

つまり、自社の事業を営む結果が社会貢献へと繋がることを自覚しながら会社経営をしているということです。


例えば、伊那食品工業さんはかんてんの多様な活用により、人の健康に貢献している。

石坂産業さんの場合は、ゴミを再資源化し環境保全やモノの再利用に貢献している。

中央タクシーさんは、例え300mの距離でも体が不自由なお年寄りのために毎日タクシーを出し、地域の足として貢献している。

利益は社会に役に立った結果、その一部が会社に還元されるという考えに基づいています。


果たして、このような社会性を意識しながら会社経営をしている経営者はどのくらいいるのでしょうか?

これは、その会社のミッション・ビジョンの内容と社員さんとの共有化のレベルによると思われます。

どんな立派なミッション・ビジョンを作っても、組織として浸透していなければ"絵に描いた餅”で終わっている筈です。


従って、社会性を持った会社として機能するためには、企業哲学による組織風土が形成される必要があることになります。

そしてこれからの時代では、社会性を持った会社しか成功しないことも事実です。


理由は、社会貢献を視野に入れた会社には大きなニーズが期待される反面、社会性がないと買う理由が見つからない。顧客からの反応は勿論のこと、その会社に入社したい人も集まらない。

事実、人手不足により経営は黒字でも倒産する会社が出て来ていますね。


この社会性という価値観は組織を形づくる個人にも波及して来ています。


さて、個人に目を向けてみましょう。

私の仲間には凄く社会貢献を意識している、というか「世の中を変える!」勢いで邁進している人たちがいます。


非営利組織であるNPO法人の中で傑出した活動をしている一人が、グローブジャングルの加藤南美さん。

カンボジアで既に学校を27も建設しました。(今ではもっと増えているかも知れません)

現地で学校を建設することは企業なども行っており、それ自体は立派な行為だと思います。


しかし、彼女曰く「学校を造っても生徒は来ないんですよ。学費が払えないからです。」

そこで彼女は『パパママ大作戦』という名で子供たちの学費を支援する寄付活動を日本人向けに展開します。年間12,000円~で、その代わりに元気で勉強している写真や手紙が親になった方に届く仕組みです。毎年カンボジア視察ツアーも開催しており、それに参加すると支援している子供にも会えます。


その支援の甲斐が合って学校へは来るようになったのですが、どうも授業の効果が出ないことに南美さんは気づきます。

原因は、貧困のため朝ごはんを食べられないし、給食もない。


次に南美さんが動いたのは、生徒のお母さんに仕事を出すことでした。

琵琶湖の13倍あると言われる東南アジア最大の湖「トンレサップ湖」に生息している環境破壊に影響力が強い水草で手作りするポーチやバッグに目をつけます。

現地で作っている人に作り方を教えてくれるようにお願いをしに行きますが、現地の人にとっては飯のタネですからそう簡単にはノウハウを提供してくれません。

彼女は半年通い続けたそうです。そして遂に口説き落とすことに成功し、そのノウハウを生徒のお母さんたちに教えて自分たちで稼げるように仕組み化したのです。

お母さんたちの手作りのポーチやバッグは、カンボジア最大のマーケットと日本で扱う販路も開拓し、人気商品になっていると聞いています。


これで給食費の問題も解決し、今では勉強意欲のある生徒たちが活き活きと学校に通っているようです。

両親がいなくてストリートチルドレンだった孤児たちにも「くっくま孤児院」という施設を造って同じような支援を続けています。


如何でしょうか。


学校を造るまでにもストーリーがありますが、造って終わりではなくその後の運営まで責任を持って展開するとストーリーの拡がりが断然違いますね。


加藤南美さんはまだ20歳代ですが、最初から意識のステージが上がっていた訳ではありません。

学生時代にたまたま視察旅行で行ったカンボジアで“天命”とも言うべきものに出会ったのでしょう。


経験をしながら意識のステージを変えていく。

このためには、現場を見学するのが最も効果的な方法だと私は信じています。

会社に例えれば、“いい会社”をつくりたければ“いい会社”を見に行く。

これが一番気づきと学びが深いのではないでしょうか。








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