「海外では○○です」というフレーズ。
もちろん、悪いことではありません。
外国の事例で良いものは取り入れていった方が得策です。
但し、そのまま適用しようというのはどうでしょうか。
明治維新以来、日本人は海外の文化や制度、仕組みを積極的に活用してきました。
“和魂洋才”や“士魂商才”の表現にみられるように、そっくりそのままではなく自国に合った形にアレンジしました。
日本流という独自のパターンを生み出したものです。
それが、時には外国にとって逆輸入という形で影響を与えたことも…。
例えば事業の世界。
トヨタが開発した生産方式も、源流は米国のIE(インダストリアル・エンジニアリング)
体系化して世界に普及した代表例の一つ。
ソニーが世に出したトランジスタラジオもそう。
部品の中核になるトランジスタの特許を米国WE(ウエスタンエレクトリック)から安価に買い取り、ラジオに応用。
当時真空管がメインのラジオを持ち運び便利な小型化し、製品寿命も延ばしたことで爆発的に普及。
いつ頃からでしょうか。
こういう工夫が忘れられ、一見効果効率的にみえるものはそのまま利用しようという動きに変わってきた感があります。
この原因は、バブル崩壊からあまりにも長いデフレを経て失った大きなものがあるからではないか。
"自信喪失からくる日本人らしさの喪失"
バブル期の驕り高ぶっていたツケが回った結果。
ここにも、急激な右肩上がりは必ず急激な失速に見舞われる法則が存在します。
慢心している間は、何も見えないというよりは見ようとしないから。
そして、年功序列型賃金体系から欧米の主流である成果報酬型へシフト。
元来このパターンは日本人には合わないのに強引に導入したため、殆どが途中で頓挫しましたね。
リストラの意味も履き違えてしまった。
本来は事業の再構築を図るべきだが、会社都合による解雇という意味に使われることになってしまった。
解雇規制の厳しい日本ではレイオフが導入困難という事情はありますが…。
本質的なところにメスを入れずに表面的に目立つ部分だけをバッサリやったことで、創造力や競争力を失ったかのよう。
そこは鎮痛剤や絆創膏ではなく、病巣の根絶と手術ではなかったか?
応急処置で終わったことがデフレの長期化を招いた一因ではないか?
米国レーガン政権の謀略“ゆとり教育”の導入で教育の質の低下を招き、MBA経営に羨望の眼差しを送り、ロジックに偏りすぎて失敗とか…。
これからは企業の二極化がますます進む中でどうするのか?
過去のデータを緻密に分析し、正しい予測が立てばその通りに進んだ"土の時代"は終わりました。
"風の時代"では、都度変化する風の方向に帆を張りながら進む行動が求められます。
正解が変わるし、一つではない。
システムの構築は欧米に分があるのは確か。
でも、この仕組みを日本流に置き換えて世界に発信できる時代だとも思います。
倫理道徳を土台にした"おもてなし"を加味した仕組み化は、血の通った温かいものになるからです。

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