“和魂商洋才”
自分が勝手に名付けている日本の理想のマネジメントスタイルです。
米国型マネジメントをそのまま日本に取り入れても機能しないと普段から言っていますが、今回は参考になる例を示したいと思います。
それは、
米国メジャーリーグの選手補強戦略。
先月電撃トレードで移籍した元阪神タイガースの藤浪投手を例に考えてみる。
このニュースを知った時、「なんで?」と思った人も多かったのではないだろうか。
開幕当初は打ち込まれるケースが多かったけど、トレード前は安定したピッチングが続いていた。 これからという時になぜ?
ここにしたたかな戦略が感じられます。 藤浪選手が在籍していたパイレーツという球団はダントツ最下位チーム。 つまり、再建途上にある。
トレードでの新天地はオリオールズ。 ア・リーグ東地区で首位を走っています。
当然優勝を狙える位置。
再建中の球団は主力を放出し、有望な若手の獲得を優先する。 今期の上位進出は絶望的だから。 来期に向けて若手に経験を積ませて育てる方針。 トレードによる年棒の格差があるからコストダウンにも貢献する。
一方、優勝を目指すチームは即戦力の補強に走る。
今年、ソフトバンクホークスからメッツに移籍した千賀投手がお手本にしたかったメジャーを代表する2人の投手の最近の移籍でも分かります。
見事に両者の思惑が一致するというわけです。
藤浪投手の場合、これを開幕時から考えていた節があるのがスゴいところ。 その証拠に、藤浪投手がいくら打たれてもマイナー降格にならなかった。 普通ならマイナーに落としてそのまま戻ってこれなかったらクビにすればいいはず。
一年契約だし。
なぜメジャーに居続けられたのか?
商品価値が下がるから。
出場機会を増やし、実績が出るのを待つ。
いずれ活躍するだろうという見立てのリスクを負った。
今季という短期的な勝利にこだわるか、来季移行を見据えた長期的視点に立つのか。
戦略がシンプルで徹底しているのだ。
日本のプロ野球(NPB)にも多少こういう動きはあるが、大物がシーズン途中で移籍するケースはほとんどない。
補強もちょこちょこっとという印象は否めない。
MLBのような計算された緻密な戦略は、残念ながらNPBでは思いつかないでしょう。
できない原因は主に3つ考えられます。
1.柔軟性に欠けるシーズン中の全体戦略
2.代理人制度の有無、あるいは権限移譲の違い
3.選手感情を考慮
システムの違い、選手の商品化の徹底などの文化の相違はあるものの、もう少し仕組み化できるのではないか。
こういう部分は、米国のマネジメントを見習ってもいいところではないかと感じました。
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