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  • 執筆者の写真竹内 明仁

【血の通った仕組み化しか機能しない】

今月、徳島にある「西精工さん」、埼玉にある「石坂産業さん」といった“いい会社”を訪問する機会に恵まれました。

西精工さんは2度目、石坂産業さんは6度目の訪問となりました。


“いい会社”の共通点の一つは、訪れる度に進化していることです。

それは何故か?

経営者のミッション・ビジョンにブレがないことと、それを共有している社員さんが主体的に取組める仕組みができていることが要因と強く感じました。

私はこれを【血の通った仕組み化】と言っています。


仕組みというものは論理的に筋が通り、コンプライアンス上の項目を網羅しているだけではどんなに立派なものをつくっても機能しないというのが私の持論です。

その理由は、その論理は会社都合で作られたものだったり、コンプライアンスは遵守するのが当然という指示・命令だけで、社員さんがキチンと理解する説明責任を果たしていないケースが多いからです。

“対話とフィードバック”がない仕組みには血が通っていないため、単なる押しつけになっていることに気づいていないから起こる現象ではないでしょうか。


では、“対話とフィードバックのある仕組み化”とはどんなものでしょうか?

仕組みが最も効果を発揮するパターンは、その仕組みをつくる際に社員さんが参画するプロセスを取り入れることです。


クレド(ミッション・ビジョン・行動指針等)を作成または見直しをする事例で考えてみましょう。


先ず幹部や現場の社員さんを交えたクレド委員会を設置し、経営者と共にたたき台をつくる。この際に重要なことは、集まった委員は役職や立場を超えて同じ目線で取組むことです。決して経営者を含む特定の人が主導的な進め方をしないことが大切です。議事進行役を委員会毎に交替で進める方法も良いかと思います。

できたたたき台は他の社員さんにもオープンにして意見を聴く。その中には重複したものもある筈ですから委員会で集約してまとめます。

最後に、たたき台を何度か修正したものを発表して「取り敢えずこれでいきます」と運用を開始する。

ここで忘れてはならないことは、運用していく中で修正が必要になった場合は適宜変えていくことを伝えておくことです。今回は採用されなかった意見も運用開始後に追加される可能性があることも併せて伝えておきます。

そして、クレドの各項目を仕事の具体例を挙げて発表する場を朝礼等で設け、社員さん全員で情報共有していきます。項目を読み合わせするだけでは意味をなしません。

これがフィートバックに相当します。情報共有を積み重ねていく中で、自然と修正箇所は出て来るものです。

要はみんなが参加し、対話を繰り返すことで自分事として捉えられるように進めていくのがコツです。

「人はそれが例え正論であっても納得できないことには従わない」習性があるからです。

「はい、分かりました」といった以上従うだろうと思っている場合は、“面従腹背”の代表例だということに気づいていないのではないでしょうか?

よく家庭内の会話で「わかった、わかった」は『もうそれ以上言わないでくれ』と言っているのと同じだということに気づいていない…。会社内でも同じだと思います。実はこれが本当に多いのです。それでは生産性が上がる筈はありません。


確かに「人事考課制度」や「賃金設計」のように社員さんを巻き込んで決められない仕組みもあります。

従って、専門家の支援が不可欠なこと以外への仕組み化には極力社員さんも参加する。その方が人間関係やチームワーク、組織の活性化に役立つ結果となるものです。

この社内の出来事を俯瞰して新たな視点を提供するのが外部の専門家の役割の一つだと、私自身は心得ています。


ここでひとつの疑問が浮かび上がるかも知れません。

はい、その会社の社風=組織文化の状況はどうか?ということです。

とても協力し合うような状態ではない会社の方が圧倒的多数かも知れません。


“いい会社”と呼ばれる企業も最初から【血の通った仕組み化】の風土ができ上がっていた訳ではありません。そこにはある程度の“強制力”が必要でした。

強制力というと、やらされ感と直感的に想像してしまうかも知れませんが、2種類あると思います。

これについては次回触れることにします。




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