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  • 執筆者の写真竹内 明仁

「多様性に目を向ける」

昨日初めて参加させていただいた「キミノテプロジェクト~君の未来はその手の中にPart5~」から、経営戦略・人財育成・労務管理まで幅広くヒントを貰ったので、今後必須となる「多様性に目を向けた働き方改革」について考えてみたいと思います。


このプロジェクトの主宰者のひとりは、大阪・京都・パリでフレンチレストラン5店舗を経営する黒岩功さんというオーナーシェフです。

彼の店舗では障害を持つ人たちが活き活きと働いています。


料理人という多様性とは対極にある職人世界の中で「何故障害のある方が活き活きと働けるのか?」


その理由の一つは、彼が唱える“待つこと”と“許すこと”に集約されていると感じます。

障害のある方は健常者のように全てにバランスよく生活できる訳ではありません。

しかし、並外れた集中力や持続力があり、健常者では到底太刀打ちできない能力を秘めているケースが多々あります。

そこにフォーカスする。すると偏見が消える。

すぐに結果を求めるのではなく、プロセスを重視して育つのを待つ。

失敗を責めるのではなく、次への改善のための方法に目を向けて許す。

そして、できた事実は承認する。

「褒める」という表現が適切かもしれませんが、私の定義の中では「褒める」は結果が出た時に発する言葉で、「承認する」は人の言動をありのままに言葉に出すことと捉えています

ので、敢えて「承認」を使わせていただきます。


例えば、“売上目標をクリアしたね、よくやった”は結果に対してですので「褒める」に該当し、“いつも元気な挨拶をするね”は「承認」に当てはまるということです。

勿論、ケースバイケースで両方必要です。

但し、「承認」の方が日々の仕事の中で表現する出来事が圧倒的に多いと思います。それを言葉に出さないだけで、「褒める」ことが苦手な日本人にとっては「承認する」方へ意識を向けた方が言いやすいのではないでしょうか。

言われた相手は自分の立ち位置が分かり、自己肯定感が高まりますね。


どうでしょう。このような視点で考えると、障害のあるなしに拘わらず、人が育つ課程は共通していると思いませんか?


黒岩さんの会社では事業の多角化も進めています。フレンチレストランに留まらず、スイーツのお店を醍醐寺の中にオープンするなど、障害のある方の雇用の受け皿を増やすためです

このように点ではなく線で繋げてみると、【人は育てるのではなく、育つ環境を如何につくるかが大切である】ことが見えて来る気がします。


あちらこちらの業界で既に人手不足が露呈している中、入国管理法改正による外国人労働者の確保が声高に叫ばれていますが、片手落ちと思わざるを得ません。

外国人労働者をあたかも"モノ”のように使い捨て感覚で雇用しようとする政策では、長時間低賃金での単純労働がはびこり、「働き方改革」の一部に謳われている労働時間の短縮と逆行したブラックな働き方が増加する可能性が高まります。

こうなったら「働かせ方改革」になってしまいますね。


以前は表舞台に出にくかった働き手である女性の活用方法や、障害のある方の長所を活かした雇用を中途半端にし、“偏見と思い込み”を解消する努力をせずに生産性が上がるか甚だ疑問です。


「ウチは人が来ないんだよなぁ~」「ウチの仕事では障害のある方ができることはないんだよね」と言っていても何も解決しませんよね。だって「自社にできることは何か」を真剣に考える努力を放棄している訳ですから。


今後は、多様性を認めて誰でもその役割を自覚して働ける会社にこそ、優秀と言われる人材も集まって来る現象が増えるでしょう。これは経営戦略なのです。


二宮尊徳の言葉で伊那食品工業の塚越会長が座右の銘としている「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」が、ここでも脳裏に浮かんで来ます。






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