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  • 執筆者の写真竹内 明仁

「経営の安定化に向けて」

最近読んだ本の中で最もインパクトが強かったのが、堤未果さんのご著書「日本が売られる」であることは間違いありません。


来年あたりから日本は農林水産業を始め、医療・介護・福祉・教育など、いわゆる国の補助を受けながら我々の生活に欠かせない分野の業種が劇的に変化していく筈です。


その理由は、相次ぐ法改正。TPP等の規制緩和を旗印にして、こっそりと重要な法律がどんどん変わっているからです。

外資を筆頭に、グローバル企業や民間が国の政策に依存して来た産業に津波のように押し寄せて来る光景が見えるようです。


一般的には、国が関わっている分野の産業は「経営力が弱い」と言えるでしょう。

良い悪いは別として、今まで国や特定団体にある程度依存していた会社が、突然「自立した経営をしてください」と言われても対応に苦慮すると思います。


従って、極力早く自立できるように今から準備していかなければならないのは必然ということになります。


そのキーワードのひとつが“財務基盤の強化による経営の安定化”と考えています。

人が育つ環境づくりや組織活性化のための体制構築は必須ですが、それと同時に会社の体力をつけることも非常に大切です。


何故か?それは、人が成長し組織文化が変わるまでには相当な時間を要するためです。

しかし絶対必要なことですので、継続していかないと中・長期的には立ち行かなくなるでしょう。


一方財務基盤を強化することでは、状況によっては即効性がある対策が可能であり、経営の安定化に役立ちます。


例えば、根拠を精査せずに加入した生命保険・損害保険、不要な販管費、社長の貸付金、遊休資産の処分、低金利を主な理由に融資を受けた借入金の見直し、節税を気にし過ぎたために心細い内部留保への考え方など、今までと違った視点で見ることが必要です。


現状の見直しから入って利益を増やすためには、言い方は荒っぽいですが『利益は固定費の回収作業である』ことを念頭に置いた方が分かりやすいと思います。

粗利総額=固定費=利益0が“損益分岐点”と言われる位置ですから、粗利総額>固定費が黒字、粗利総額<固定費が赤字になります。

これを理解するためには、変動費と固定費を一緒に原価計算し外部のステークホルダーへ提出している「全部原価計算」による決算書とは別に、変動費と固定費を分離して計算する「直接原価計算」による管理会計が必要になります。


よく耳にするのが「売上を上げろ」という経営者の声。重要なのは「利益」です。

利益を出すには「単価を上げる」「変動費を下げる」「数量を増やす」「固定費を下げる」の4つの方法しかありません。

結局売上のアップに繋がるケースも多々ありますが、自社の特性から4つの部分のどこに焦点を絞って対策を立てるかが重要です。


「売上を上げろ」「固定費を下げろ」と指示する経営者が多い中、例え売上が上がっても利益が出ていなければ意味をなさないですし、固定費の削減が限界なのにそこに注力しても、やはり結果がついて来ないですよね。もっと他の「単価を上げる」「変動費を下げる」「数量を増やす」のどれか自社で最も実現可能性が高い部分に対策を集中させる方が効果的ではないでしょうか。これを『利益感度分析』と言います。


昨日2018年最後の【戦略MG(マネジメント・ゲーム)】を実施しましたが、このゲームは利益感度分析は勿論のこと、経営の意思決定による戦略・戦術を磨く、利益とコスト意識を醸成するには効果的な訓練だと確信しています。

それは講義形式ではなく、身につけやすい体験型学習だからです。


今後世の中に絶対必要なのに経営の危機に晒されるであろう業種の経営者には、財務基盤強化のための勉強を積んでほしいと念じています。

その際に「決算書を読めないといけない」と考えている経営者も多いかも知れませんね。

私は「決算書は2割分かれば他は必要ない」と思っています。無用な財務指標分析が多過ぎるせいです。

財務の書籍も読む必要はないかも知れません。

自社の問題点や課題に真摯に向き合ってくれる会計事務所とお付き合いしている場合はともかく、そうでない場合には、経営者ご自身が身につけやすい方法で学ぶことをお勧めします。






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