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  • 執筆者の写真竹内 明仁

「仕組み化の落とし穴」

更新日:2018年11月6日

皆さん、こんにちは。

今回は“会社内の仕組み化とその効果性”について考えてみたいと思います。


その前に、仕組み化に特化していると思われるひとつの例を検証してみます。

社会保険労務士という専門職の仕事があります。(一応自分もそうですが)

多くの社会保険労務士は、書類の手続きや申請の代行、社内規定の作成・見直し、給与計算、賃金制度・退職金制度の設計、人事考課制度などの業務を行っています。


世間では、会社の経営資源の中の「人」のことならば社会保険労務士の仕事と言われているようですが、「人(人事)」について総合的に考えた時、果たしてそうでしょうか。

通常行われている業務は、「労務」という人に関する仕事の一部分を指しており、これは主に仕組みによって成り立っている部分です。

確かに、間接的には人に関わっているかも知れませんが、血が通った人の成長や組織活性化のような直接的な部門に携わっているケースはとても少ないのが実情です。

だからといって、労務を専門にしている社会保険労務士を批判している訳ではありませんので、誤解のないようお願いします。(考え方や価値観の違いです)


では、なぜ労務という仕組みに集中しているのでしょうか?


それは、仕組みは外枠を構築しその中に当てはめることで、“効率”を追求するものと思うからです。

一方、人は内面的な部分によって“効果”を追求するものと位置づけられると考えるからです

“効率”と“効果”は違います。

効率は短期間で結果を出すことを目的としており、効果は時間がかかってもその結果が持続することを目的にしていると仮定すれば、効率化の方が比較的簡単に設計できます。

両方必要なことですが、使い方を間違えると全く異なった方向に行きます。


時間がかかる効果性の方は人の成長であったり、社内のミッション・ビジョンの共有だったりします。

人間には時間がかかる面倒くさいことを避けようとする習性がありますよね。

だから、無意識の内に効果より効率を求めてしまうことになってしまう…。


効率を追求していくら素晴らしい仕組みをつくっても、運用するのが人である以上、人の想いや感情を除外すると、絵に描いた餅で終わってしまう可能性がある所以です。

ここが落とし穴になっている気がします。


仕組み化にこだわってその構築を優先してしまうとどうなるか?


それは、働いている人にとっては押しつけになってしまうことです。

人間は、それがいくら正しいことであっても自分が納得しないと行動に移さない特性があります。

言い換えれば、自分が納得したことしか本気で動かないことになります。

皆さんは如何でしょうか。


特に会社経営者は、自分が納得しないことに我慢して働くくらいならサラリーマンをやっているのではないでしょうか。

社員さんも、強制的な枠組みの中で我慢して働いているとしたら、生産性が上がる筈はありませんよね。

逆に、自分の仕事にやりがいや誇りを持って取組んでいる場合には、仕組みは押しつけではなく積極的活用に転じることが可能です。


ここが「働き方改革」にも通じる落とし穴です。

法律で労働時間管理を厳格にしたり、同一労働同一賃金を制度化してもそれを実施する目的が肚落ちしていない状況では、とても効果性があるとは思えません。


そう考えていくと、仕組み化を進めるためにはそれなりの土壌が必要ということになります

その土壌とは、そう、“人の感情知性”が考えられます。

感情知性とは、頭の知能指数(IQ)に対して心の知能指数(EQ)のことで、自分や他者の感情を読み取ったり表現したり、コントロールしたりする力です。対人コミュニケーションの中で用いられる大切なものです。


誰でも持っているこの感情知性が社内で力を発揮するためには、人間関係の円滑化、ミッション・ビジョンの共有化、任せることによる主体性の醸成などを通じて社風の変革が絶対条件になると考えています。

社風は短期間ですぐには変わりませんので、少しずつでも変化の兆しが表れて来た時に、その段階に応じた仕組みを当てはめていく方が自然な形で定着するのではないでしょうか。


まとめると、仕組み化を一気に構築するのではなく、その前に感情知性に目を向けた改革を進めながら段階に合わせて仕組み化を取り入れていく方が、無理なく長期的な発展が望めると思います。








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